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ルリフィナさんはときどきオーク その1

異世界オークな精神融合モノです。

※この作品には下品な要素があります。







 ある日、俺の通う学院のクラスの生徒全員が異世界に転移した。
 最初はみんな戸惑っていたのもあり全員で行動していたが意見の違いによる対立が続いた。
 そしてクラス会議の結果、それぞれが好きなグループに分かれて行動することになった。
 親しい友人が一人もいなかった俺は誰のグループにも入ることもできず、気がつくと一人になっていた。
 それから一ヶ月後……。



 今俺は冒険者として生活している。
 今日はポーションの素材になるルミナ草という薬草を採取するために街から少し離れた森にやってきていた。
 ルミナ草は冒険者ギルドに持っていけば一本30Gで買い取ってくれるので、俺のような駆け出し冒険者の収入源になっている。

「せめて宿代くらいは稼がないとな」

 宿と言っても俺が泊まっているのは馬小屋だったりする。
 本当はベッドのある普通の宿に止まりたいのだが、駆け出し冒険者の自分にそんな余裕は無い。
 冒険者という職業は夢がありそうだが、実際は以外に地味で収入も不安定だし、常に命の危険に晒されている。
 薬草を探してるだけで凶暴な魔物に襲われたり、場所によっては人間に襲われることだってある。
 この一ヶ月で俺は嫌と言うほどそれを体験した。

「せめて俺のクラスがもう少しまともだったらな……」

 クラスというのは学院のクラスではなく、RPGでいう職業のことだ。
 この世界はクラスによって習得できる『技能(スキル)』が異なる、ようするにクラスというのは『技能(スキル)』を習得するための才能のようなモノだ。
 この世界の人間は生まれた時からクラスが決まっているらしく、大抵は血筋で決まるらしい。
 俺のような異世界から転移してきた人間がどうなるかというと、レアクラスと呼ばれるこの世界でも一部の人間しか存在しない特殊なクラスになる。
 例を上げれば『賢者(セージ)』や『剣聖(ソードマスター)』などRPGでも上位職と呼ばれるようなクラスだ。
 転移してきたクラスメイトのほとんどがそんな感じのクラスになっていた。
 そう『ほとんど』であり全員ではない……つまり中には微妙なクラスの人間もいるということだ。

 はい、そうです俺です。

 俺のクラスは『探索者(サーチャー)』と呼ばれるクラスなのだが、このクラスはまともな戦闘力を持たず、スキルも他のクラスの劣化版みたいな感じだ。
 一応レアクラスというだけで『戦士(ファイター)』や『魔法使い(ウィザード)』のようなノーマルクラスのほうが正直マシだと思う。
 つまりハズレクラスということだ……。
 この世界に転移した時はファンタジー世界で俺TUEEEEできるかもって思ったけど……そう上手くはいかないものだ。

「ないものねだりしても仕方ない、さっさとルミナ草を探して帰ろう」

 俺は技能(スキル)の『目星』を発動して周囲に隠れている魔物がいないか探す。
 この『目星』という技能(スキル)は使用者の範囲内にある隠れたモノを見つけたり、普通は気づかないようなことに気づける技能(スキル)だ。
 この技能(スキル)のおかげで俺は何度も命を救われている。
 まあ狩人(ハンター)なら『探知』の技能(スキル)でレーダーみたいに魔物や人間の位置を把握できるのだが……。

《目星:Lv1 発動》

 すると少し離れた大きな木の下に陰になるようにして一匹のオークが倒れているのに気がついた。

「こんなところにオークがいるなんて……亜人狩りから逃げてきたのか?」

 俺が今いるランドレース大陸では半年前まで亜人達を従えた魔王と人間達が戦争をしていたらしい。
 戦争は勇者が率いるパーティーによって魔王が倒され、人間側の勝利に終わった。
 その後、魔王軍の残党を排除するためにランドレース大陸の各国では亜人達の駆除……通称亜人狩りが行なわれるようになった。
 冒険者ギルドでも亜人を殺すだけで報酬が支払われるため、冒険者達の間でも積極的に亜人狩りが行なわれている。

「あのオークまだ生きてるみたいだな」

 オークの体は酷い傷だらけだったが大きな鼻がピクピク動いており、まだ息はあるようだ。
 今の手負いの状態なら駆け出し冒険者の俺でも仕留めることができるかもしれない。

「普通のオークでも殺せば一匹300Gだったっけ」

 このオークを殺せば俺の持っているギルドカードにオークの討伐が記録され報酬がもらえる。
 オーク一匹でルミナ草一個の10倍の金額だ。

「どうするべきかなんて考えるまでもないな……」

 生きていくためには金が必要なのだ。

《忍び歩き:Lv1 発動》

 この『忍び歩き』は名前の通り、気づかれずに静かに移動すことができる技能(スキル)だ。
 まあ盗賊(シーフ)なら『気配遮断』のスキルで自分の気配そのものを消せるのだが……。

「おまえら……なんでオレを置いて逃げ……一人は嫌ブヒ……」

 オークに近づくとうわ言のように何かを呟いていた。
 おそらく逃げる時にでも仲間に見捨てられたのだろう。

「死にた……ないブヒ……かあちゃん……助け……」

 オークでも死ぬのは怖いし、母親に助けを求めたりするようだ。

「……」

 俺は無言でそんなオークへと近づいていく。
 そしてオークのすぐ傍まで近づくと……鞄から持っていた回復薬(ポーション)を取り出しオークに飲ませた。

「ブ、ブヒ!?どうしてニンゲンがオークのオレを助けるブヒ?」

 どうやら回復薬(ポーション)の効果で傷が癒え、正気を取り戻したようだ。

「別に……単なる気まぐれだよ」
「気まぐれでオークを助けるニンゲンなんていないブヒ」

 確かに人間がオークを助けたところで何の得にもならない、むしろ殺したほうが金になるくらいだ。
 これは単なる感傷……俺の自己満足だ。

「それよりこの傷は人間にやられたのか?」
「そうブヒ、あのニンゲンの女が……」

 だとしたらまだ近くにいるかもしれない。

《聞き耳:Lv1 発動》

 この『聞き耳』は音を正確に聞き取り意味を解釈して理解する技能(スキル)だ。
 まあ狩人(ハンター)なら『探知』があるのでこんな技能(スキル)は不要なのだが……うん、もう悲しくなるから考えるのはやめよう。

「っ!?」

 俺は『聞き耳』によってこちらに近づいてくる足音に気づく。
 数は一つ……これはおそらく人間の足音だ。

「誰かがこっちに近づいてきた……おまえは早くここから逃げろ!!」

 オークの傷はまだ完全に癒えていないが走って逃げるくらいならできるだろう。

「おまえはどうしてオークのオレを助けるブヒ?」

 もっともな質問だが今は答えている暇はない。

「怪我してる奴を助けるのに理由なんてない、いいからさっさと行け」
「……おまえの顔は覚えたブヒ、この恩は必ず返すブヒ」

 そう言うとオークは森の奥へと消えていった。
 それから少しすると神官服に身を包んだ女性が俺の所にやってきた。

「こんにちは、ちょっといいかしら?」



 そう言って話しかけてきた女性は俺が今まで見た中でも相当な美人だった。
 腰まで伸びた銀色の綺麗な髪に、青色の瞳をした美しい顔立ち……そして一番目を引くのはその大きすぎる胸だ。
 女性が少し動くだけで神官服に包まれた大きな胸がタプンと揺れる。

「は、はい!!な、なんですか!?」

 あまりにも美人だったので思わず緊張して声が上擦ってしまう。

「うふふ、そんなに緊張しないでちょうだい、少し聞きたいことがあるだけだから」

 そう言って神官服の女性は余裕のある大人の笑みを浮かべる。
 やばい……この人すごく俺の好みだ。

「この辺りで手負いのオークを見なかったかしら?」

 どうやらこの女性がオークの言っていた『あの女』のようだ。
 いくら俺好みの美人とはいえ、せっかく助けたオークのことを教えるわけにはいかない。

「オークですか……うーん、見てませんね」

 手負いのオークを見つけて殺さない冒険者なんていない。
 変な嘘はつかず、ここは見ていないと答えておくべきだろう。

「おかしいわね、こっちに逃げたはずだと思ったのだけれど……」

 この女性は見るからに神官(プリースト)だし盗賊(シーフ)のような『探知』の技能(スキル)は持っていないはずだ。
 それなら時間を稼げばあのオークも逃げ切ることができるかもしれない。

「オークを探してるってことは亜人狩りですか?」
「うーん、少し違うわね……依頼でこの辺りのオークを調査してたのよ」

 てっきりこの女性も亜人狩りをしている冒険者だと思ったんだが……。

「調査ってどういうことです?」
「ごめんなさい、依頼だから詳しいことは話せないの」

 どうやら他人に話せるような依頼ではないようだ。

「ありがとう、私はもう少し森の奥を探してみるわね」
「あっ、待ってください!!」

 時間稼ぎのためにその場から去ろうとした女性を呼び止める。

「何かしら?」
「こ、こんじょ良ければ俺と一緒にパーティーを組みませにゅか!!」

 あっ……ヤバイ噛んだ!?
 やっぱり慣れないことはするものではない。

「えっ……私と?」

 噛んだのが良くなかったのか、女性は少し驚いた顔をしていた。

「そ、そうです!!あなたみたいな……き、綺麗な人と一緒にパーティーを組めたら幸せというか……なんというか……」

 ダメだ、ナンパなんてしたことないから何を言ったらいいかわからない。

「そっか、あなたは知らないのね……ふふ♪」

 女性はそう呟くと優しく微笑んだ。
 知らないって、いったいどういう意味だろう?

「そうね……次に会う時までに考えておくわ♪」

 あっ、これきっとダメなやつだ。
 本気じゃなかったけど、ちょっと悲しい。

「それじゃあ私は急いでるからもう行くわね」
「あっ……」

 神官服の女性は今度は振り返ることなく森の奥へと消えていった。
 とりあえずできることはしたし、後は無事にオークが逃げれることを祈っておこう。

「それにしても綺麗な人だったな……」

 もし付き合うなら、ああいう美人な女性と付き合いたい。
 あの大きな胸に顔を埋めて思い切り甘えたい、そして甘やかされたい!!

「ありえないこと考えてないで、さっさとルミナ草を集めて帰ろう」

 その後、俺はルミナ草を採取して特に何事もなく街へと戻った。




 一週間後、俺は冒険者ギルドの掲示板の前に立ち、自分が受けられそうな依頼を探していた。

「うーん、やっぱり俺のランクで受けられるような依頼は報酬が低いな」

 冒険者ギルドの依頼にはランクが定められており、冒険者としてのランクが依頼のランクよりも低い場合は基本的に受けることはできない。
 冒険者ランクは、F→E→D→C→B→A→Sと上がっていくシステムになっている。
 ちなみに俺のランクは最低のFだ。

「討伐系の依頼は他の依頼と比べて報酬はいいけど、一人で受けるのは危険だって受付嬢の人も言ってたしな……」

 自分の実力の無さは自分が一番良く知っている。
 ここは思い切って掲示板にパーティー募集の張り紙を張ってみるか?
 だけど自分の力の無さを考えるとためらってしまう。
 俺なんかがパーティーを募集しても集まるはずないし、やっぱりルミナ草の採取でもしてたほうが……。
 そんな風に俺が悩んでいると……。

「やっと見つけたわ!!」

 声がしたので後ろを振り返ると、そこには以前に森で出会った神官服の女性が立っていた。



「あなたは前に森で会った……」
「うふふ、憶えててくれたのね♪」

 そう言うと女性はくすりと微笑んだ。
 やっぱりこの人は美人だな、胸もすごく大きいし……。

《目星:Lv1 発動》

 俺は目の前の神官服の女性が以前に出会った時とは少し雰囲気が変わっていることに気づいた。
 具体的なことまではわからないが、それはあまりに自然で普通の人間では気づかないような変化だ。

「っ!?」

 まさかいきなり『目星』の技能(スキル)が発動するとは思わなかった。
 条件はわからないが俺のスキルはこうやって突然自動的に発動することがあるのだ。

「どうかしたの?」

 女性は俺が『目星』を使ったことには気づいていないようだ。

「いえ、別になんでも……それより俺に何か用ですか?」
「ええ、私と一緒にパーティーを組まない?」
「……えっ!?」

 女性の予想していなかった発言に思わず固まってしまう。

「もしかして自分で誘っておいて忘れてしまったの?」
「いえ、てっきり断られたのだとばかり……」

 そもそもあれはオークが逃げる時間稼ぎのために言っただけで本気ではなかったんだが……。

「私は考えておくって言ったじゃない」

 あれは否定の返事だと思っていた。

「でも俺は最低のFランクですよ?」
「ランクなんて関係ないわ、だって私があなたとパーティーを組みたいのだから」

 美人にそんなこと言われるとちょっと嬉しくなってしまう。
 だが勘違いして舞い上がってはいけない。

「自分で誘っておいてなんですけど本当にいいんですか?」

 冷静に考えれば俺みたいなFランクの冒険者とパーティーを組んでもメリットがあるとは思えない。

「もちろんよ、もしかして他にパーティーを組んでる人がいるの?」
「いません……というか一度も組んだことないです」

 正直、パーティーに入っても自分みたいな人間がうまくやれる自信がない。

「だったらなおさらパーティーを組むべきね、あなたがこの先も冒険者としてやっていくならパーティーくらい組めないとダメよ」

 確かに彼女の言うとおりだ。
 この世界で冒険者をやっていくつもりならパーティーを組むことは必須だろう。
 もう自信がないとかヌルいこと言ってられる状況ではないのだ。

「わかりました、それじゃあお願いします」

 彼女から『目星』で感じた変化も気になったが、それよりもパーティーを組むことのほうが重要だと判断した。
 別に爆乳美人とパーティーが組めるよ!!やったね!!……なんて思ってない。

「決まりね♪私はルリフィナ、見ての通りクラスは『神官(プリースト)』よ」
「ルリフィナさんですか?あれ……どこかで聞いたことがあるような?」

 確かに聞いたことがあるはずなのだが、なんだったか思い出せない。

「それよりもあなたの名前を教えて欲しいわ」
「あっ、はい、俺は……」

 俺は自分の名前とクラスをルリフィナさんに告げる。

「名前もこの大陸では珍しいけど、クラスはさらに珍しいわね『探索者(サーチャー)』なんて聞いたことないクラスだわ」
「一応レアクラスらしいですけど技能(スキル)も他のクラスの劣化版みたいな感じだし、ただのハズレクラスですよ」

 レアクラスだと期待させてはいけないので最初から教えておく。

「そんな風に言うものではないわ」
「えっ?」
「どんなクラスでも技能(スキル)は使い方しだいよ、それにレベルが上がれば新しい技能(スキル)を習得できるのだから今の段階での評価なんて無意味だわ」

 真面目に返されたので少し驚いてしまう。

「あなたのクラスはまだ未知数……自分で可能性を殺すような考え方はするべきじゃない」

 なんだか急に先生に説教されてるような気分になった。
 ……でもルリフィナさんの言うことも一理ある。

「……少し言い過ぎたかしら?」
「いえ、問題ないです」

 むしろ言ってもらえて良かった気がする。
 これからはもう少し前向きに考えるように努力しよう。

「あの……それで受ける依頼なんですけど」
「あなたが好きな依頼を受けていいわよ、どんな依頼でも私はついて行くから」

 俺が受けれるのはFランクの依頼だけだし、ルリフィナさんにとってはあまり問題ではないのだろう。

「わかりました、それじゃあ……」

 せっかくパーティーを組んだわけだし、思い切って討伐依頼を受けてみることにする。
 依頼を決めた俺は掲示板に張られていた依頼書を剥がし、ルリフィナさんと一緒に冒険者ギルドの受付カウンターへと向かう。

「えっと掲示板に張られていた依頼をパーティーで受けたいんですけど……」

 そう言ってカウンターにいた受付嬢に話しかけると……。

「はい、いったいどの依頼どぅぅえぇぇぇぇぇ!?

 受付嬢はルリフィナさんを見た途端、驚きの声をあげる。

「い、いきなり大声を上げてどうしたんですか?」
「いやだって……そこにいるのはルリフィナ様ですよね?勇者様と一緒に魔王を倒したあの英雄の……」

 その話を聞いて俺は思い出した。
 ルリフィナというのは半年前に魔王を倒した勇者のパーティーの一人だ。

「Sランクの冒険者であるルリフィナ様がどうしてFランクなんかと一緒に……」
「あら何か文句でもあるのかしら?彼は私のパーティーメンバーなのだけれど」

 ルリフィナさんはそう言うと受付嬢の方を見てニコリと微笑む。
 あれ?なんだろう?笑っているはずなのに妙な威圧感が……。

「い、いえ滅相もありません!!どうぞお好きなだけ依頼を受けてください!!」
「それじゃあ彼の持ってきた依頼を受けるから手続きをお願いするわ」
「か、かしこまりました!!」

 その後、受付嬢が急いで手続きをしてくれたのですぐに依頼を受けることができた。

「うふふ、それじゃあ行きましょうか」

 俺は受付カウンターを離れてルリフィナさんと一緒に冒険者ギルドを出る。

「あのルリフィナさん……どうして魔王を倒したような英雄のあなたが俺なんかとパーティーを組むんですか?」

 ルリフィナさんはこの大陸に数人しかいないと言われているSランクの冒険者だ。
 Sランクは国を救った実績を持つ冒険者のみに与えられる最高のランク。
 そんな最高ランクの冒険者が最低ランクの冒険者とパーティー組むなんて普通はありえない。

「えっ、あなたと仲良くなりたいと思ったからだけど」

 待て、勘違いするな……これはきっと冗談だ。
 もしくはラブではなくライク的な意味だ。
 そもそもルリフィナさんと会ったのはたったの一度、しかも少し会話をしただけだ。
 それなのに仲良くなりたいなんてありえない。

「そ、そういう冗談はやめてください」
「別に冗談じゃないわよ」
「いやいや、俺は騙されませんよ」
「本当なのだけれど……まあいいわ、これから仲良くなっていけばいいんだもの、ふふ♪」

 ルリフィナさんはそう言うとクスリと微笑んだ。




 俺達は以前ルリフィナさんと出会った森へとやってきていた。

「もう一度確認しますけど、この森に生息するウルフラビット10匹の討伐が依頼の内容です」

 ウルフラビットというのは鋭い牙が生えた凶暴なウサギでこの世界では食用の肉としても使われている。
 集団で襲われない限りはFランクの冒険者でも十分対処できる程度の強さの魔物だ。

「ウルフラビットは丸焼きにして噛り付くとおいしいのよね……じゅるり」

 そう言ったルリフィナさんの口元からは涎が垂れていた。

「ル、ルリフィナさん、涎が出てますよ」
「あらやだ、私ったらはしたない」

 ハンカチを取り出すとルリフィナさんは自分の口元を拭う。

「ルリフィナさんもウルフラビットを丸焼きにして食べたりするんですか?」

 ルリフィナさんの容姿からは丸焼きにしたウルフラビットに噛り付いてる姿なんて想像できない。

「それは私だって冒険者ですもの」
「そうですよね、冒険者ならそういう時だってありますよね」

 旅の途中に食料を失い、仕方なく魔物を狩って食べることだってあるだろう。
 ましてや彼女は勇者と共に魔王を倒した英雄……きっとそうしなければ生き残れないような厳しい状況に陥ったことがあるはずだ。

「それじゃあウルフラビットを探しましょう」

 俺達はウルフラビットを探しながら森の中を歩いて移動する。
 なんとなく隣を見るとルリフィナさんの大きな胸がすごく揺れていた。
 俺は思わずガン見してしまう。

「ふふ、私の方ばかり見てどうしたのかしら?」

 そう言ってルリフィナさんは大きな胸をタプンと揺らす。

「い、いえなんでもないです!!」

 今絶対俺が胸を見てたのバレたよ!!
 うわー恥ずかしい!!

「それにしてもなかなか見つからないわね……仕方ないここは私がなんとかするわ」

 ルリフィナさんがそう言うと……。

ブパァ!!

 隣から下品な音が聞こえてくる。
 俺はルリフィナさんの方を見るが特に何事もなかったような顔をしている。
 たぶん俺の聞き間違いだな『聞き耳』の技能(スキル)を使わなくてもわかる。
 英雄であるルリフィナさんがオナラなんてするはずがない。

 ブリブリィ!!ブビィ!!

《聞き耳:Lv1 発動》

 隣にいるルリフィナさんのお尻から下品な音がはっきりと聞こえる。
 これは間違いなく屁だ、ルリフィナさんのオナラの音だ。
 この香ばしいニオイは間違いない……でもなんだか普通の屁とは少し違う感じがする。

 ……ってなんでここで技能(スキル)が発動するんだよ!?
 この情報はできれば知りたくなかった。

「森の中にいるとね、なんだか開放的な気分になるのよ」

 ルリフィナさんが突然そんなことを言い始める。

「あの……ルリフィナさん?」

 あえて気にしないフリをしていたが、森に入ってからルリフィナさんの様子がおかしいような気がする。

「うふふ、ほら来たわよ」
「来たって何がです?」
「私のくっさいオナラに誘われて魔物達がやってきたわ」

 すると突然、近くの草むらから鋭い牙の生えたウサギ……ウルフラビットが姿を現した。

「うわっ、出た!?」

 ウルフラビットは鋭い牙を光らせて俺達の方に飛び掛ってくる。

「ふん!!」

 ルリフィナさんが持っていたメイスを振り下ろすとウルフラビットの頭が弾け飛んだ。

「ぐろっ!!」
「うひひ、まずは一匹目ね♪」

 そして草むらから次々とウルフラビットが現れる。

「今度はたくさん出た!?」
「ウルフラビットのお肉がこんなにたくさん……嬉しいわね♪」

 ルリフィナさんは次々とウルフラビットの頭をメイスで潰していき、時には素手で掴んで近くの岩に投げつけたりもする。
 それはとても『神官(プリースト)』の戦い方とは思えない。

「ブふふ、さあ次は誰かしら!!」

 ブリブリィ!!ブバァ!!ブビィ!!

 放屁しながら次々とウルフラビットの頭を叩き潰していくルリフィナさん。
 その姿はまるで別人だ……もしルリフィナさんのファンがこんな姿を見たらショックで失神してしまいそうだ。

「あの、もう10匹以上倒してるのでこの辺で終わりにしても……」

 10匹どころか30匹は倒してる気がする。

《聞き耳:Lv1 発動》

 『聞き耳』の技能(スキル)が自動で発動して、少し離れた場所から大型の獣がこちらに向かってくる音が聞こえてくる。

「ルリフィナさん、なんかヤバイ足音が聞こえてくるんですけど!!」
「どうやら私のオナラに誘われてやってきたみたいブヒね」

 ブヒってなんだ!?
 っていうかルリフィナさんのオナラはいったいどうなってるの!?
 頼めば俺にも嗅がせてくれるの!?

「と、とにかく逃げないと!?」
「いいえ、ここで迎え撃つブヒ」

 ルリフィナさんはここに残って戦うつもりのようだ。
 だったら俺も逃げるわけにはいかない。

「GUOOOOOON!!」

 激しい鳴き声と共に現れたのは3メートルはありそうな巨大な黒い熊だった。
 あれは確かこの森のヌシと言われているギガントデスベアだ。

「ルリフィナさん、絶対やばいやつだこれ!!」

 今のレベルで勝てるとはとても思えない。
 ここはやっぱり逃げたほうが……。

「ふんっ!!」

 ルリフィナさんがメイスを勢いよく振り回すとギガントデスベアの巨体が吹き飛び、木をなぎ倒しながらボールのように転がっていく。
 俺はその光景を唖然としながら見ていた。
 これが英雄の……Sランクの冒険者の力なのか?

「さあ黙って見てないで、あなたが止めを刺すブヒ」
「えっ……あっ、はい!!」

 俺は倒れているギガントデスベアに近づくとその喉元に短剣を突き立てる。
 するとギガントデスベアは一瞬ビクリと体を痙攣させ、しばらくすると動かなくなった。
 そして気がつくと、さっきまでいたはずのウルフラビット達はすっかりいなくなっていた。

「ふぅ……これで依頼達成ね」

 こうして戦いは終わった。
 めでたしめでたし。




 ……というわけにはいかない。

「ルリフィナさん、あなたはいったい何者なんですか?」

 さっきの戦闘もそうだが、あきらかにルリフィナさんの言動が街で会った時からあきらかに変わっている。

「そうね、元々あなたには話すつもりだったし……ブヒヒ♪」

 ルリフィナさんはそう言うと、今まで見せたことがないような下品な笑みを浮かべて俺に近づいてくる。



「私は……オレはあなたが助けたオークブヒ」
「は?」
「そしてオレは……私はルリフィナでもあるの」

 ルリフィナさんが何を言っているのかわからない。

「あなたは私と会う前に怪我をしていたオークを助けたでしょ?それがオレなんだブヒ」
「ど、どういうことですか?」
「あなたと別れてから色々あったのよ…オレはあなたに助けられてから森の中の遺跡に逃げ込んだブヒ」

 そういえばこの森の奥には古代人の遺跡があると聞いたことがある。

「私もオレの後を追って遺跡に入ったんだけど、そこではオーク達によって古代魔法を発動するための儀式が行なわれていたブヒ」
「その古代魔法っていうのは、どういうものなんですか?」

 もしかして魔王を復活させる魔法とかだろうか?

「他人の体を奪う魔法ブヒ、魔王軍の幹部の生き残りがその魔法を使って私の体を奪おうとしてたブヒ」
「ルリフィナさんの?」
「私はこれでも英雄の一人ブヒ、体を奪えば色々と利用できるブヒ」

 確かに戦力としても英雄という立場にしても色々と利用できそうだ。

「幹部の生き残りはオーク達に命令して私を遺跡におびき寄せようとしてたのよ、私に嘘の調査依頼まで受けさせてね……まあその幹部も手下のオーク達も皆殺しにしてやったけど」

 ルリフィナさんから激しい怒りを感じる……まあ自分の体を奪おうとされたら誰だって怒るよな。

「それじゃあルリフィナさんの体は奪われなかったってことですか?」
「そうね、奪われはしなかったわ、儀式の邪魔もしたから魔法が発動することもなかった……はずなんだけどね」

 そう言うとなぜかルリフィナさんが俺のことを睨んでくる。

「私が幹部を倒した直後にオレが……あなたの助けたオークが儀式が不完全な状態のまま魔法を発動してしまったのよ」

 それって俺がオークを助けたせい……なのか?

「結果的に体を乗っ取られることはなかったけど、不完全な魔法だったせいで私と魔法を発動したオークの精神は融合してしまったの」

 つまり今のルリフィナさんは……。

「今この体は私(ルリフィナ)とオレ(オーク)の精神が融合して一つになった状態なのよ」
「そ、そんな……」

 普通なら信じられないところだが、もしそれが本当なら『目星』で気づいたルリフィナさんの違和感や森に入ってからの奇行にも説明がつく。

「あなたがオレを助けなければ、私はオークなんかと精神が融合することなんてなかったのにね」
「お、俺は……」

 俺のせいでルリフィナさんはオークと精神が融合することになってしまったんだ。
 ルリフィナさんは俺を恨んでいるのだろう、きっと俺をパーティーに誘ったのは人知れず始末するために違いない。
 早く謝るべきだ、情けなくても命乞いするべきだ……。

「そ、それでも俺はオークを助けたことを後悔してません」

 気がつくと俺の口からはそんな言葉が出ていた。

「ふーん、私がオークと精神が融合してしまったのに?」
「それでも……俺があそこでオークを殺していたらきっと同じくらい後悔していたはずです」

 もしあそこでオークを殺していたら俺はきっと自分を許せなくなっていた。

「そこまでしてオレを……あのオークを助けたかったってこと?」
「倒れているオークが自分と似ている気がしたんです……だから助けたかった!!」

 この世界に来てから俺は誰にも助けてもらえなかった。
 始めて魔物に襲われた時も、ならず者に絡まれた時も……クラスメイト達だってみんな俺を置いていなくなってしまった。

「ルリフィナさんがオークと精神が融合してしまった責任はちゃんと取ります……だから殺さないでください!!」
「途中までカッコイイこと言っておいて命乞いするのね」
「いや、だって死にたくないですし」

 信念も大事だが死んだら何もかも終わりだ。
 俺はまだ死にたくない、せめて彼女は欲しい、あと童貞は捨てたい。

「なるほどね、あなたの気持ちはよくわかったわ……それじゃあ」

 するとルリフィナさんはニヤリと下品な笑みを浮かべる。

「オレを助けてくれて本当にありがとブヒ♪」
「えっ、殺さないの!?」

 てっきり殺されるかと思っていたので、ルリフィナさんのお礼の言葉に思わず驚いてしまう。

「オレはルリフィナでもあるけど、あなたが助けたオークでもあるブヒ……自分の命を助けてくれた恩人を殺すなんてとんでもないブヒ」
「そ、それじゃあ……」

 俺は許されたのか?

「でも自分で言ったとおり責任はちゃんと取ってもらうブヒ」
「うっ……一体何をすれば?」

 自分で責任は取ると言った手前、無かったことにはできない。

「これからもオレとパーティーを組んで欲しいブヒ」
「えっ、そんなのでいいんですか!?」

 もっと無理難題を押付けられると思っていたので拍子抜けだ。

「別にそのくらいならいいですけど……どうして俺とパーティーを組みたいんですか?」
「ここに来る前にも言ったはずブヒ、オレがあなたと仲良くなりたいからブヒ」

 あれはてっきり冗談だと思っていたんだが……。

「それはルリフィナさんがですか?それともオークがですか?」
「決まってるブヒ……私(オレ)とオレ(私)の両方ブヒ」

 なるほど……わからん。

「ようするにどっちかなんてないのよ、私(ルリフィナ)の精神もオレ(オーク)の精神も完全に融合して一つの人格になってしまっているの」

 ルリフィナさんが元の口調に戻って説明してれる。

「それなら街の冒険者ギルドで会ったルリフィナさんも森でブヒブヒ言いながら戦っていたルリフィナさんも同じ人格ということですか?」
「そうよ、人のいる場所では隠しているけど定期的にオークである自分を表に出さないと我慢できなくなるの」

 だから森に入ってから様子が変わっていたのか……。

「私だと言っていてもオレだと言っていても……それは全部同じルリフィナよ、あまり難しく考えないで」

 誰だって相手や場所によって態度を少しは変えるし、ルリフィナさんの場合もそれと似たようなものなのかもしれない。
 ルリフィナさんの精神の状態については大体わかったが、俺には他にも気になることがあった。

「それじゃあさっき魔物達が集まってきた原因はなんなんですか?」

 ルリフィナさんはオナラで呼び寄せたとか言ってたけど、人間のオナラにそんな効果があるなんて聞いた事が無い。

「さっき使ったのはオーク族が使う豚魔法よ」
「豚魔法?」

 そんな魔法聞いたことがない。

「知らないの?豚魔法はお尻から出るのよ」
「知りませんよ!!」

 尻から魔法が出るなんて普通は思わない。

「豚魔法は自分のオナラに様々な効果を付与する魔法なの、オークの時は魔力が少なくてほとんど使えなかったけど、魔力の高い人間なら様々な効果を発生させられるわ」

 なんでオナラなのかは突っ込むところなんだろうか?

「ちなみにさっきは魔物をおびき寄せる豚魔法を使ったのよ、まさかこの森のヌシまで出てくるとは思わなかったけど」

 あの魔物達は本当にルリフィナさんのオナラで集まってきたのか……。

「でも豚魔法っていうのはオークの技能(スキル)なんじゃないですか?」
「今の私はね、オークと精神が融合したことでオークのクラススキルも使えるようになってるのよ」

 そんなことがありえるわけ……いやありえるからこそ魔物が集まってきたんだ。

「さっきの戦闘もオークの技能(スキル)があったからこそ、ああいう戦い方ができたのよ」

 確かにあれは神官(プリースト)とは思えないバイオレンスな戦い方だった。

「精神が融合することで他のクラスの技能(スキル)まで使えるようになるんですね」
「そうね……でも私の事を含めてこの事を他の人に話してはダメよ?」
「わかってますよ」

 もしこの事が知られれば悪用する人間や亜人が現れるかもしれない。
 それに英雄であるルリフィナさんの精神がオークと融合しているなんて知られたらきっと大問題になる。

「正直まだルリフィナさんには聞きたいことがありますけど、今日はもう街に戻りませんか?」

 話している間に空はオレンジ色になり夕方になっていた。
 いくらルリフィナさんが強くても夜の森は危険だ 暗くなる前に街に戻ったほうがいい。

「そうね……それじゃあ一緒に街に戻るブヒ♪」

 こうして一人だった俺は異世界で初めての仲間を得た。



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かなり良かったです。続きがあったら読みたいです!
[ 2016/07/18 01:58 ] [ 編集 ]
こんな美人がオークの精神と混じり合ってるなんてたまりませんね!
「私でもありオレでもある」、心が変容してしまっているこの状態は、自分で体験しても独特の高揚感を得られそうです。

ただし魔法は尻から出る(笑)
[ 2016/07/18 11:15 ] [ 編集 ]
返信
>かなり良かったです。続きがあったら読みたいです!
ありがとうございます!!
時間はかかると思いますが自分も続きは書きたいと思ってます。


>nekomeさん
ありがとうございます!!
融合した側の視点になると見方も変わって、また違った良さがありそうですね。

尻から魔法に関しては、放屁に意味を持たせたくてそういう設定になりましたw


[ 2016/07/18 20:36 ] [ 編集 ]
好みの話でした。
ぜひとも続きを書いてほしいものです。
[ 2016/07/24 11:53 ] [ 編集 ]
返信
>好みの話でした。
>ぜひとも続きを書いてほしいものです

ありがとうございます!!
続きに関しては書きたいと思っています。


[ 2016/07/24 20:22 ] [ 編集 ]
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